母が手作りしてくれた大切なベッドカバー

私は、現在38歳です。10年ほど前に、結婚をするまで実家で両親と暮らしていました。大学や就職先の職場も電車で通勤できる範囲だったので、一度もひとり暮らしをすることなく生活していました。私の実家は、千葉県の某新興住宅地の一角にあります。小学生の時に都内の社員寮から、一軒家を求めて千葉へ引っ越し、初めて自分の部屋を持つことになりました。それまで2歳年下の弟と一緒の部屋で寝起きを共にしていたので、引っ越してしばらくは、一人で寝るのがさみしくて、よく寝つけなかったのを思い出します。しかも、人生初のベッドで眠ることになり、自分の家なのに落ち着かなくて、自分の部屋にいるより、リビングにいるほうが多かったです。それは弟も同じで、なかなか自分のベッドに慣れず、2週間くらいは私の部屋に二人で一緒に寄り添って眠っていました。

そんな私たちのさびしい気持ちを知ってか、母がベッドカバーを手作りで作ってくれました。私にはきれいな花の刺繍のカバーを、そして弟には大好きな熱帯魚がちりばめられたカバーでした。学校から帰ってきたときにベッドに見たことのない華やかなカバーを見つけた時には、とてもうれしかったです。それは弟も同じだったようで、その日を境にお互いに自分のベッドで眠るようになりました。そのカバーは、私がお嫁に行くまで約20年の間、ずっと使い続けていました。自分が嫁ぐときに、いるものいらないものを整理しました。新居では、布団を使う予定だったのでベッドカバーは不要だったのですが、どうしても手放すには思い出深くて、一緒に新居にもっていくことにしました。ずっと押し入れにしまっていたのですが、5歳の息子が昨年布団敷きを手伝ってくれた時に、見つけ今ではお気に入りになりました。あまりに気に入ったようで、息子は布団の上に必ずかけています。20年使い続けてもなお、誰かに素敵だと言われるようなものってなかなか出会えることはありません。汚すことなく大切に使い続けてきて本当に良かったと心から思っています。母にこの話を言うと、照れたようにそんな昔の話をしてといつも言いますが、孫が喜んで使っている姿を見てやはりうれしいようです。

いつの日にかアパートから引っ越して、両親のように一軒家を建てられるようになったら、寝室には絶対に素敵なベッドを置きたいと考えています。そしてもちろん布団の上には、母の作ってくれた思い出の品をかけるつもりです。

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